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アップル「月収10万円」の破格求人に数万人が殺到! “使い捨て”中国・農民工が高給取りへ!?
中国全土に2億人以上といわれている、「農民工」と呼ばれる農村から都市部への出稼ぎ労働者。これまで、低賃金労働力を提供し、中国の経済成長を支えてきた彼らだが、その境遇が大きく変わろうとしている。
広東省恵州市のアップル社の関連工場を、1週間近くにわたって取り囲んだ数万人の農民工たち。労働争議やデモではない。同工場が出した好待遇の求人に対し、就職希望者が殺到したのである。
3月11日付の「南方都市報」によれば、同工場が提示した条件は、月額5,000元(約9万7,000円)。同地の工員の給与は高くても月3000元(約5万8,000円)前後が相場というから、この求人の破格ぶりが分かる。求人を出して以来、1日平均2,000~3,000人の農民工たちが、就職説明会に参加するための列を成したという。
列にいた一人の農民工の男性は、すでに3日間並んでいると話し、毎日カップラーメンで空腹をしのいでいるという。
アップル社製品の生産を請け負う、総面積20万平方メートルを擁するこの工場は現在、約2万人の工員を募集している。市のGDPの3分の1が、この工場によって生み出されており、まさに同地の基幹工場といえる。
中国版Twitter「微博」では、農民工向けに出された破格の求人に対し、
「大学卒業した俺より給料高いよ……」
「今から恵州行ってくるわ」
といった声が相次いでいる。一方では、
「アップル社の製品工場だけは景気がいいみたいだけど、もし中国から撤退したら、何十万人もの失業者が広東にあふれるのか……」
と、案ずる声もある。
実際、広東省深セン市の日系工場に勤務する日本人男性(36歳)も、「中国の製造業は近いうちに大きく縮小する」と予想する。
「工員の給与は、過去5年で倍になり、最近では3,000元じゃ、まともな人材は集まらなくなった。アップルのような価格交渉力のある大ブランドは別として、多くの企業はコストが見合わなくなってきている。特に日本向けにモノを作っているところは、円安による為替差損をもろにかぶっています」
2月には、日本のシチズングループの工場が、突然解散したばかり。中国が、世界の工場から、世界の市場へと変わりつつある中、中国企業の工場が日本に軒を連ねる日も近い?
(文=青山大樹)