＜寺社油被害＞京都・八坂神社も 東寺でも新たに発覚

　

　奈良や京都の寺社などで油のような液体がまかれる被害が相次いでいる事件で、祇園祭で知られる八坂神社（京都市東山区）と淡路島にある伊弉諾（いざなぎ）神宮（兵庫県淡路市）で１２日、新たに被害が発覚した。既に被害が出ていた東寺（京都市南区）と金刀比羅宮（ことひらぐう）（香川県琴平町）では、別の被害箇所を確認した。
　
　　八坂神社によると、警備員が１２日朝、摂社「悪王子社（あくおうじしゃ）」の社殿が汚されているのに気付き、京都府警に通報した。社殿は文化財指定は受けていない。２４時間誰でも出入りできるが、１０日昼ごろには汚れはなかったという。
　
　　また、兵庫県警などによると、古事記や日本書紀に記述がある伊弉諾神宮の社殿前階段に幅１メートル、高さ３０センチの範囲で染みが点在。自由に参拝できる場所で、２月下旬〜３月下旬に複数の職員が見つけ、宮司が１２日に通報した。文化財指定はなく、県警は器物損壊容疑で捜査している。
　
　　一方、世界遺産・東寺は１２日、新たに金堂（国宝）や講堂（重要文化財）の壁面や柱、食堂（じきどう）の外の柱など計２０カ所以上で被害が確認されたと発表した。９日に御影堂（国宝）など５カ所の被害を発表した後、京都府警と合同で詳しく調査していた。寺は府警に防犯カメラの映像などを提供した。
　
　　香川県琴平町の金刀比羅宮では１２日午前、本宮拝殿にある木製のついたてに、油のような染みが半円状に数十個見つかった。県警琴平署は器物損壊容疑などで調べている。９日には重文「旭社」の拝殿に油のような液体がまかれているのが見つかったが、その際にはなかったという。本宮拝殿は文化財指定を受けていない。【花澤茂人、矢澤秀範、道下寛子、古川宗】