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「American Wagyu」高まる人気 輸入和牛より安価、生産数4割増
米国で脂の乗った肉質の「アメリカン(米国産)和牛」の生産熱が高まっている。米国では赤身の牛肉が主流だが、近年はサシの入った和牛の人気も上昇中。米国の畜産関係者は日本からの輸入和牛よりも安価で提供できる米国産和牛の人気がさらに高まるとみて、生産頭数を着実に増やし始めている。米国では数十年前に登場した「アンガス牛」がブランドを確立した前例もあり、関係者の間では日本など海外への積極展開も見据えたビッグビジネスへの期待が広がっている。(テキサス州サレード 小雲規生)
◆需要に追いつかず
「次に登場するのは素晴らしい雌牛です。彼女の体の大きさをごらんください」。11日のテキサス州サレードの農場。テキサス和牛協会主催のオークション会場に米国産和牛が引き出されると、競売人のリズミカルなせり声とともに次々と落札されていった。
米国産和牛は日本から米国に持ち込まれた和牛の血統を引く肉牛。米国和牛協会によると、米国産和牛の推定頭数は和牛同士をかけあわせた「フルブラッド」で5千~1万頭、和牛と別の品種による「ハーフブラッド」で5万頭程度。2014年には前年比40%増の2600頭が新たに登録された。
首都ワシントンのあるレストランでは、米国産和牛のステーキは12オンスで92ドル(100グラムあたり約3200円)で提供されている。一般的なステーキより数倍高いが、「舌の上で溶けるような軟らかさ」との評判で人気が上昇中だ。同協会のマイケル・ベーティー事務局長は「今は米国産和牛への需要に生産が追いつかない状態だ」と話す。
◆ブランド牛目指し
米国では赤身の牛肉が一般的だが、神戸牛に代表される霜降りの和牛の知名度や評価も高い。ただし日本産和牛のステーキはレストランで1オンスあたり25ドル(100グラムあたり約1万500円)で出されることもある超高級品。米国産和牛の人気には日本産和牛の代替品としての意味合いがある。
生産者らが思い描くのは、米国産和牛を米国のブランド牛の代表格である「アンガス牛」のような存在に育て上げることだ。1980年ごろからブランド展開が本格化したアンガス牛も軟らかい肉質が人気となって生産が拡大。レストランや小売店もこぞってアンガス牛を扱い、現在は年間約30万頭が新規登録されるまでになっており、米国産和牛でも同様のビジネス展開が可能だとの思惑が高まる。
◆日本に輸出も視野
国内市場の先には国際市場も広がる。テキサス州で米国産和牛を手がけるラルフ・リーさん(70)が自ら経営する食肉会社では、米国産和牛の出荷先の15%は中国、シンガポールなど国外で、日本への輸出も見据えている。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が実現すれば日本での牛肉関税が下がるとみられ、「より多くの米国産和牛を日本に輸出することができる」とも期待する。
一方、米国産和牛は米国人の好みを反映させ、日本の最高ランクの霜降り牛肉ほどにはサシが入っていないものも多い。生産者の一人は「大きなステーキを食べる米国人は脂が乗りすぎた牛肉だと胃にもたれてしまう」と笑って、米国産和牛と日本産和牛に脂の乗り具合に差があることを認める。
また、米国産和牛の生産規模は日本の和牛に比べてまだまだ小さく、別の生産者は「日本はもっと積極的に血統のいい和牛の生体を米国に輸出してほしい」とこぼす。
しかし、牛肉産業の規模で勝る米国の潜在力は大きい。リーさんは「日本で和牛の価格が高いのは土地の広さの制約などで生産量が限られているから。米国で米国産和牛の生産が増え、日本でも浸透すれば、日本人は望むだけの和牛を今よりも安い値段で買うことができるようになる」と話している。