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【BUSINESS REPORT】ヤマハ『TRICITY MW125』は、なぜフロント二輪になったのか?

 【BUSINESS REPORT】ヤマハ『TRICITY MW125』は、なぜフロント二輪になったのか?

 

 これまでになかった新しい乗り物を開発しようと、社内のスペシャリストたちが招集された。市販車の開発経験のなかった2人のキーマンが躍動する。

【BUSINESS REPORT】ヤマハ『TRICITY MW125』は、なぜフロント二輪になったのか?

 ヤマハ発動機『TRICITY(トリシティ)MW125』
 35万6400円

 全長1905×全幅735×全高1215mm、152kg。総排気量=124cc、最高出力=11PS/9000rpm、最大トルク=1.0kgf・m/5500rpm。

 〈ここがポイント〉
 ●スポーティーなハンドリングと安定感を両立した新コミューター
 ●様々な路面状況でも快適な乗り心地は不変
 ●フロント2輪という個性的なデザイン

 「開発に〝冒険〟はしない。
  手堅く、確実に、しかし大胆さは忘れない!」

【BUSINESS REPORT】ヤマハ『TRICITY MW125』は、なぜフロント二輪になったのか?

 (左)ヤマハ発動機
 PF車両ユニット PF車両開発統括部
 LMW開発部長
 海江田隆氏(48歳)

 1990年に入社。1年目から産業用ロボットを開発する事業部に配属。リニアモーターを使用したマシンの開発も手がける。

 (右)ヤマハ発動機
 PF車両ユニット PF車両開発統括部
 LMW開発部 設計グループ グループリーダー
 高野和久氏(52歳)

 1986年に入社。1年後にMS開発部へ異動。以降23年間レース車の開発に従事。史上最強ライダー、ロッシのマシンも手がけてきた。

  2014年7月1日、ヤマハ発動機が開催した新型バイクの発表会は驚きの連続だった。会場はサブカルチャーの聖地、東京・秋葉原。お披露目になった『トリシティ MW125』は国内メーカー初のフロント2輪・新コミューターだ。しかも斬新なデザインも注目された。

  従来の3輪バイクは、走りは安定するがスポーティーなイメージとは縁遠い。『トリシティ』を運転してみると、平地や坂道、凸凹のある道や左右に曲がる時も安定感の高さを実感できる。しかしコーナリングではスポーツバイクのように車体をスムーズに傾斜でき、実に爽快だ。2輪でも3輪でもない、異次元の乗り物――、そう実感させる『トリシティ』の開発には2人のキーマンが深くかかわった。そのひとり、LMW開発部設計グループグループリーダー・高野和久は言う。

 「我々の命題は世の中にない新しいコミューターの開発をすること。何から何まで初めての試みでしたが、それは開発者冥利に尽きる大きな経験でした」

 ◎今まで積み上げた技術や経験を生かし、これまでにない新しい視点で取り組め

 『トリシティ』の開発は2010年に社内で3か月限定で編成されたあるチームのレポートがきっかけになった。…

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