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断熱住宅のメリットは「省エネ」だけではない!~住まいと健康を考える~
死亡事故が起こりやすい場所が家庭であるという事実。
住まいと健康の関係を考えるべき時がきた
厚生労働省が発表した2013年の人口動態統計によると、交通事故による死亡事故の件数は6,060件。一方で家庭内における死亡事故は14,582件であり、交通事故の2.4倍だ。最も安心できる場所であるはずの家庭で死亡事故が多いというショッキングな事実から、住まいと健康は密接な関係があるということが見えてくる。
なぜそうした事が起こるのか、そしてどう対策を取るべきなのだろうか?今回、2015年2月に大阪府で開催された「住まいと健康を考えるシンポジウム」に参加してきた。会場となった大阪市中央公会堂は、1918年に完成した重要文化財だ。
同統計によれば、家庭内における不慮の事故による死因で最も多いのは溺死・溺水の5,156件(35.4%)だ。これは、温度の急激な変化を原因としたヒートショックによる浴室での溺死が多いとされている。そうした背景からも住宅の断熱性能の低さが問題視されているが、そもそもなぜ日本の住宅は断熱性能が低いのだろうか。
その理由について、近畿大学建築学部教授の岩前篤氏は、「昔から日本は温暖地と考えられており、兼好法師の“徒然草”でも“日本の住まいは、夏をむねとすべし。”という文があります。つまり日本の家は“夏向け”につくられていました。そのため、家に断熱を施すという考えが無かったわけです。しかし、気候の変化や死亡率の遷移を見ると状況は変わってきていると言えます」と説明する。
同統計によると、1910年の月別死亡率は夏場の7~9月が10%強。対して12~2月は8%~9%で、夏場の方が死亡率が高い。しかし2004年の調査では、冬場の死亡率が夏場の7%強を上回る9%の結果となっている。さらに、同年の冬場における死亡は循環器系を死因とするものが多く、岩前氏はこれを「ヒートショックが要因と考えられる」と話した。
断熱性能の強化で改善されるのは「冷え」だけではなかった
岩前氏は、2002年~2008年に転居した合計24,000人を対象として、新居の断熱グレードを断熱等級3(G3:新省エネ基準相当)、断熱等級4(G4:次世代省エネ基準相当)、断熱等級5(G5:温暖地での北海道仕様の断熱性能相当)と上げた際の健康状態改善率を調査した。
その結果、ほとんどの健康状態の項目において断熱グレードを上げると改善率は上昇する結果となったが、実はG3→G4ではその改善率は小さく、G4→G5と上げた際の改善率の上昇が顕著であることがわかった。…