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<シャープ>中小型液晶を分社化へ 異例の稼ぎ頭事業で
経営再建中のシャープが、虎の子の中小型液晶パネル事業を分社化する検討に入り、注目を集めている。分社化は赤字事業などを分離して、採算を高めるために行うことが多いが、稼ぎ頭の液晶で行うのは異例。背景には経営判断のスピード化に加え、外部資金を調達する狙いがある。だが、シャープは分社後も新会社の株の過半を持つ考えで、資金の出し手を見つけるのは容易ではなさそうだ。
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「事業を細分化しないと、スピード感ある経営ができない」。中国で開かれたアジア最大級の情報技術展で高橋興三社長は9日、報道陣に分社化の狙いを語った。液晶を担当する方志教和専務も10日、「固定費が明確になるのはメリット」と強調した。
シャープの経営陣が語ったように、分社化は事業を切り離し、意思決定を迅速化させて、独立採算で収益を高めるものだ。ただ、通常、経営不振の事業を切り離し、最終的に売却してしまうケースも目立つ。
シャープの場合はこれとは異なる。経営陣は口にしなかったものの、液晶分社化の最大の狙いは稼ぎ頭の投資資金の確保であり、事業の強化だ。液晶事業は成長に多額の設備投資が必要だが、経営再建中のシャープは十分な資金を準備できそうにないためだ。
液晶のライバル、ジャパンディスプレイ(JDI)は高精細の中小型液晶パネルの新工場建設に1700億円を投じると決定。韓国、台湾、中国企業との競争が激化しているにもかかわらず、シャープが一定以上の投資額を確保するのは難しい情勢だ。
虎の子の中小型の液晶の苦境は、アップル向けの亀山第1工場(三重県亀山市)をめぐる液晶戦略の迷走にさかのぼる。2013年にアイフォーンの販売が低迷し、シャープの経営が厳しくなったことなどから、シャープは中国にかじを切る。この後、中国の小米科技(シャオミ)との取引を深めたが、結局JDIがシャオミとの取引を拡大し、シャープは割を食った。一方で、アップルはJDIに設備増強を働きかけ、「シャープは遠ざけられた」(関係者)との見方が強い。
15年3月期のシャープの液晶事業の営業利益は400億円の見込みで、当初見通しの550億円から3割弱も下振れし、十分な投資資金を稼げない事態に陥った。シャープは生き残りをかけて液晶事業を分社化し、官民ファンドの産業革新機構に1000億円規模の出資を求める。仮に外部から出資を受けられれば、液晶の設備投資額を増やすことができて、新型液晶の開発やコスト削減につなげられるほか、投資先の販路が使えることなど先行きの見通しも開けてくる。
とは言え、革新機構は投資先の株式の過半を握って経営再建を進めることが多い。JDIの設立に関わり、現在も約36%を出資している。シャープにも出資すれば、JDIの不利益になりかねず、厳しい交渉になりそうだ。JDI以外のファンドや企業に出資を求める場合も、技術流出につながらないか慎重な判断が求められ、資金の出し手が見つかるか微妙な情勢だ。【宇都宮裕一】