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JST、乳児型ロボットと子ども型学習/発達ロボットを開発
科学技術振興機構(JST)は6月11日、課題解決型基礎研究事業の一環として、大阪大学 大学院工学研究科の浅田 稔教授らが、人間とロボットの認知発達過程を理解するために、人間の子ども型ロボット「M3-Kindy(エムスリー・キンディー)」と乳児型ロボット「Noby(ノビー)」を開発したことを発表した。
これらのロボットは平成17年度から平成22年度にかけて行われた研究プロジェクト「浅田共創知能システムプロジェクト」によって得られた成果の一部で、乳幼児および子どもの時期の認知発達メカニズムを理解するために開発された。
M3-Kindyは、5歳児程度の大きさのロボットで、高い運動性能、表情表出機能、多様な感覚機能を備えており、親と子どもの間のさまざまな相互作用を伴う発達モデルの仮説を検証するための普及型研究用プラットフォームロボット。体重は約27kgで、名前のM3は「MAN MADE MAN(人造人間)」に由来、Kindyは幼稚園児程度の年齢の子どもをイメージして、幼稚園を表すKindergartenにちなんでいる。
自立するヒト型ロボットで、全身42個のモーターで子どもの複雑で動的な動きを模倣させるとともに、顔の柔らかい皮膚(発泡ウレタン)により自然な表情を作り出すことが可能だ。また、顔や物体、音声、接触などを認識させるために、頭部には視聴覚としてのカメラ2個とマイクロフォン2個を搭載、全身には109個の触覚センサが備えられている。これらの全身モーターや各種センサは内蔵コンピュータによって制御されるが、普及型研究用プラットフォームとしてロボット専用のOSを持たず特殊なアクセス環境を必要としないため、ユーザーが自由な環境で制御プログラムを設計・開発することができる特長を持っており、これにより「親と子どもの手遊び」や「親が子どもの手を引いて一緒に歩く」というような親子間の身体的相互作用を実現できるようになっている。
開発された子ども型ロボット「M3-Kindy」。左上が自立するM3-Kindyを正面からとらえた姿。右上がM3-Kindyの表情各種。下が人と手をつないで歩く様子
一方、乳児型ロボットNobyは、9カ月児の身体特性と感覚運動機能を再現したロボット。生後9カ月頃の人間の乳児は運動機能と認知機能が劇的に発達し、「9カ月革命」と呼ばれるほど重要な時期となっている。9カ月児をモデルに、身長71cm、重量7.9kgの乳幼児の認知行動発達を研究するための研究用のロボット・プラットフォームとなっている。全身を覆う柔らかい皮膚には600個の触覚センサを搭載、頭部には視聴覚としてのカメラ2個とマイクロフォン2個を備え、外部環境を感知することが可能となっている。
頭部、上半身、下半身などの身体各部の重量配分や、腕や脚などの太さについても9カ月児の平均値に合わせて作られているほか、関節も乳児なみの可動域を有し、筋骨格系特有の運動特性を再現することができる。
これらの機能により、全身触覚センサのデータから乳児が感じていることのシミュレートや、目新しい対象物に対する好奇心の発達モデル(学習の基盤)などを調べることができ、最終的には、人間の初期発達原理をモデル化してNobyに実装し、その結果の振る舞いや発達過程を人間と詳細に比較することで、モデルの検証や修正を行うことを目標とするとしている。
開発された乳児型ロボット「Noby」。上段は子ども服を着せ、抱き上げ、寝かせ、ベビーカーに乗せた状態。下段はさまざまな姿勢にした状態。関節の可動域が乳児並みに広く、乳児の多様な姿勢を模擬できる
なお、研究チームでは、従来のロボットに加え、新たに2体のロボットが開発されたことで、より多様な相互作用に基づく認知発達研究が可能となったとしており、これらの各種ロボット・プラットフォームを使い、人間の学習・発達原理を理解することで、人間らしい仕組みを取り入れ、コミュニケーション能力が発達するロボットの実現を目指すとしている。