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がん研有明病院 消化器センター・下部消化管外科 直腸がんを「術前治療」と腹腔鏡下手術で肛門温存
【ニッポン病院の実力】がん研有明病院 消化器センター・下部消化管外科
大腸がんの中でも、肛門に近い直腸にできる「直腸がん」の手術では、肛門の出口の動きをつかさどる肛門括約筋(かつやくきん)も取り除くため、かつては永久人工肛門になるケースが多かった。直腸がんは局所再発といって、切除した直腸の周囲に再びがんが生じる危険があり、それを避けるには肛門から少し離れた直腸のがんでも、肛門まで取り除くことが望ましいと考えられていたからだ。
この状況を変えるべく、手術前に抗がん剤による化学療法と放射線療法を行う「術前治療」と、内視鏡などが先端についた医療器具による腹腔鏡下手術とを組み合わせ、従来は永久人工肛門となっていたケースの約80%で「肛門温存手術」を行っているのが、がん研有明病院消化器センター・下部消化管外科。腹腔鏡下手術を積極的に行い、2014年の大腸手術は1000件を超えた。
「直腸は骨盤の中にあって、従来のおなかを開ける開腹手術では、小さなバケツの底で治療をするようで、視界が悪かったのです。腹腔鏡下手術では、肛門の周りにある自律神経などの大事な組織の位置も明確で、これらを温存した手術が行いやすいメリットがあります。また、術前治療は欧米では標準治療になっていますが、日本ではあまり行われていません。当院には、放射線療法と化学療法のスペシャリストがそろっていますので、より良い方法の研究を進めています」
こう話す同科の上野雅資下部消化管担当部長(57)は、大腸がん治療のエキスパート。2012年から「オキサリプラチン」という世界標準治療の薬剤などを用いた術前療法(FOLFOX療法)を行っている。手術前に化学療法と放射線療法を行い、直腸がんが小さくなることで、手術のときに肛門を残せる割合も高くなった。
加えて、上野部長の治療結果の検証では、単に肛門や排尿機能などの周囲の組織を温存できる以上のメリットがあった。
「術前治療後に手術で切除した患部を調べたところ、化学療法と放射線療法を併用すると、約4分の1の患者さんのがん細胞が全て消えていたのです。将来、手術をしなくても治療できる方法が、少し見えてきました」
上野部長のグループでは、現在、最新の化学療法と放射線療法を組み合わせた術前治療の研究を進めている。診断機器がさらに進歩すれば、手術が不要というケースも見極められる可能性がある。こうなると、感染症のように薬を飲んで治すがん治療への道も可能。もちろん、そこまでたどり着くには道のりはまだ遠い。
「現状では、術前療法と手術で最善を尽くします。当院には、他院で肛門を残すのが無理といわれた患者さんも、たくさん来られます。だからこそ、新しい治療法の確立はもとより、技術力ナンバーワンを目指したい。そうあらねばならないと思っています」と上野部長。より良い医療の提供に力を注いでいる。 (安達純子)
【データ】2014年実績
・大腸手術数1020件
・大腸腹腔鏡手術数739件
・大腸がん腹腔鏡下手術数668件
・直腸がん腹腔鏡下手術数370件
・直腸がん術前治療(抗がん剤+放射線)数85件
・病院病床数700床
〔住所〕〒135-8550 東京都江東区有明3の8の31 (電)03・3520・01112015/4/13 16:56 更新