大阪桐蔭、５億円超の裏金 予備校関係者ら接待か 身内に“裏報酬”の疑いも

　

　裏金の使途は高級バッグや有名ブランドのスカーフ、ゴルフ場の利用代…。大阪桐蔭中学・高校（大阪府大東市）の裏金問題で、弁護士らでつくる第三者委員会が２５日、大阪市内で会見を開き、裏金は計５億円超に上るとの認識を示した。優秀な生徒獲得などのため、学校側と塾や予備校との接待などに使われたとみられる。学校側は今後、裏金づくりを主導していた前校長（７４）らに対する刑事告訴も検討。２６日には選抜高校野球大会で同校野球部が２回戦に臨んだが、球児や生徒の努力で築かれてきた名門校のイメージは大いに傷つけられた。

　会見には、問題を調査する第三者委の弁護士や公認会計士のほか、元検事総長で同校を運営する学校法人・大阪産業大の土肥孝治理事長らが出席した。

　第三者委の報告書によると、教材費による裏金づくりと不正流用に関わった中心人物は、同校の創立当初から運営に携わり、絶大な発言力を持つ前校長と６０代の前事務長の男性。裏金をプールするための口座を複数つくり、簿外で管理してその存在を隠蔽していた。

　こうした裏金は前校長が「渉外活動のためにためておかないとだめだ」と指示し、前事務長が管理。裏金は５億円以上にのぼり、うち少なくとも約１億３０００万円は不正に流用され、ゴルフ場の利用代や飲食代、百貨店の外商の商品代などに充てられていた。

　外商から購入した商品には約１００万円のバッグやエルメスなど数十万円のスカーフのほか、紳士用のアクセサリー、マフラーストールなどがあった。このほか、約５２００万円は口座から引き出され、同校の金庫内に保管されていたという。

　ただ、口座の取引記録は２００４年以降しかなく、前事務長は「体調不良」を理由に第三者委からの聞き取りを拒否したため、全容は明らかになっていない。

　一方、模試受験料の裏金からは２０１３年４月以降、同校の教育相談役に退いた前校長に、正規の月額報酬約４０万円とは別の「裏報酬」として毎月５０万円、雇用していない娘にも毎月３０万円振り込まれており、総額は約１７００万円に上った。

　裏金づくりの目的について、優秀な生徒の確保のため学習塾や予備校関係者らへの接待に使われていたことも指摘されているが、第三者委は会見で「前事務長らへのヒアリングができておらず、どのような性質のものかは認定できない」と述べるにとどめた。

　ただ、第三者委の報告書では、大阪府が補助金で府内の生徒に対する私立高校授業料の実質無償化を進めていることを受け「優先的に内部監査の対象にすべきだった」と学校法人側の責任を追及した。