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鉄道トリビア (50) 寝台特急のミステリー:「カシオペア」は2回、「北斗星」は1回、一体何が?

鉄道トリビア (50) 寝台特急のミステリー:「カシオペア」は2回、「北斗星」は1回、一体何が? 

 寝台特急「カシオペア」と「北斗星」。「カシオペア」はすべてA寝台2人用個室という豪華列車。「北斗星」は寝台から開放個室まであり、1人でも気軽に乗れる列車として知られている。どちらも上野と札幌を同じルートで結ぶ列車だ。しかし「カシオペア」では「あること」が2回発生し、それが「北斗星」では1回しか起こらないという。さて、「あること」とは何だろう。

 上野駅に到着した「北斗星」と「カシオペア」

 機関車の交代だと思った人は惜しい。確かに「カシオペア」の機関車交換は2回ある。本州の区間を担当する機関車と、青函トンネルを担当する機関車と、北海道内を担当する機関車で交代するため、青森と函館で機関車を交代する。しかし、これは「北斗星」も同じこと。つまり機関車の交代は「カシオペア」「北斗星」とも2回だ。

「カシオペア」は2回も進行方向を変える

 しかし、この機関車交代にヒントがある。正解は「進行方向が逆転する回数」だ。下り「カシオペア」は青森で進行方向が逆向きになり、青函トンネルを通過した後、函館で再び進行方向を逆転する。夜から朝にかけてのことだから、眠ってしまった人は途中で進行方向が変わったことに気づかないかもしれない。

 ところが、同じ区間を走る「北斗星」は、進行方向の逆転は函館駅のみとなる。青森では進行方向が変わらない。だから、上野から乗った時と、北海道内を走る時は走る向きが逆になる。さすがにこちらは誰でも気づくことだろう。しかし、車内設備が異なるとはいえ、どちらも同じ目的地に向かっている列車である。どうして逆向きの回数が違うのだろうか。

 その理由は、青森で機関車を交換する場所が異なるからだ。「北斗星」は青森信号場、「カシオペア」は青森駅。青森信号場は上野から来た列車がそのままの向きで青函トンネルに入れる。しかし、青森駅は行き止まり式の駅のため、出発する時は進行方向が変わるのだ。

 上り「カシオペア」の車中から見た機関車交換の様子」

青函トンネル付近ではラウンジ側が先頭になり、機関車の顔を眺められる

 青森駅付近の線路を見ると、線路が三角の配置になっている。「カシオペア」「北斗星」ともに青森駅は通過扱いのため、わざわざ青森駅に立ち寄る必要はなく、どちらも青森信号場で機関車を交換できる。

 しかし、カシオペアには編成の両端に展望室がある。上野発札幌行きの場合は最後尾がスイート。札幌発上野行きは最後尾が展望ラウンジとなっている。景色が見える時間帯に同じ向きを走らせるために、わざわざ青森駅に入って進行方向を逆転させるというわけだ。

 「カシオペア」と「北斗星」の走行ルート図(Googleマップより)。赤い線がカシオペアのルート。青い線が北斗星のルート。北斗星は青森信号場で機関車を交換する。ちなみに大阪 – 札幌間の「トワイライトエクスプレス」も青森信号場で機関車を交換し、逆向きに発車する

 そんなことをしなくても、方向転換を1回だけにすれば、函館を境にスイートもラウンジも交代で展望を楽しめるといえる。しかし、上野発札幌行きの展望スイートは「常に展望席」という要素も人気のひとつ。また「広い展望スイートに乗りたいけれど、開放的すぎて落ち着かない」という人は上り列車のスイートがいい。機関車の顔を存分に眺めたい人にもお勧めだ(笑)。展望室を持つ「カシオペア」は、ひと手間かけて展望車のサービスを維持しているというわけだ。

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上原健二
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