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遺伝研、ニューロンの活動が散発的な胎児期でも運動が可能になる機構を解明

遺伝研、ニューロンの活動が散発的な胎児期でも運動が可能になる機構を解明 

 国立遺伝学研究所(遺伝研)は、神経回路が未熟でニューロンの活動が散発的な胎児期であっても、運動が可能になる仕組みを究明したと発表した。遺伝研 運動神経回路研究室の研究チームによる研究で、成果は「Journal of Biological Chemistry」に2012年1月6日に掲載された。

 脊椎動物は胎児期にオーガナイズされた運動能力を獲得する。例えばヒトでは、自発的に、あるいは外界からの刺激に応答して胎児が短時間動くこと(胎動)、サカナでは胚が逃避行動をとることが知られた運動だ。お腹を赤ちゃんが蹴飛ばすのは妊娠経験のある女性ならもちろん、その家族も少なくとも一度ぐらいは目の前で観たことがあるかと思うが、こんな当たり前の運動が、実は動くのに必要な神経回路が未熟であるにもかかわらず、どのようにして可能になるのかはこれまで不明だったのである。

 そこで研究グループでは、ゼブラフィッシュをモデルにして研究を進めた。その結果、胚期(胎児期)の運動の調整に「ギャップジャンクション」による電気的カップリングが不可欠であることが判明したというわけだ。

 運動は、脊髄にある運動ニューロン群が規則正しく発火し、骨格筋(ヒトでいうと腕や脚の筋)を規則正しく収縮させることで初めて可能になる。しかし、神経回路が未熟な胚期では、運動ニューロンは運動時に散発的にしか発火しないことも今回の研究では判明した。

 その結果、connexin39.9の変異によりギャップジャンクションを欠くゼブラフィッシュ変異体では、各骨格筋線維は散発的にしか収縮せず、全体として運動能が著しく低下してしまうという結果となった。

 一方、正常個体の筋はギャップジャンクションを介して電気的にカップリングしており、神経出力を受ける細胞が少数でも、それを近隣細胞で分け合うことで多くの筋線維を収縮させ、力強く同調的な運動を可能にしていることがわかったのである。

 なお、研究チームでは今回の成果について、従来、分化した骨格筋にはギャップジャンクションは存在しないと教科書に記述されてきたのだが、今回の発見はそれを覆すものとなったと説明している。

 左が通常(野生型)のゼブラフィッシュで、右がギャップジャンクションを欠くゼブラフィッシュ変異体。野生型はニューロンの発火のスパイクが多く動きもダイナミックだが、変異体はスパイクが少なく動きも大人しい

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