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航空トリビア (17) なぜLCCの旅は自由度が高いのか
ヨーロッパのトゥイフライもLCC
運賃が激安だとか、機内食や預け荷物が課金制だとか、低コスト航空会社(LCC)が従来の航空会社(レガシーキャリア)と違う点を挙げればキリがない。でも、実際にLCCを使ってみると、旅行者にとって一番の大きな違いは、旅行の自由度だと分かる。
日本人の海外旅行が自由化されたのは1964年。当時は様々な制約があり、原則的に一般旅行者はパッケージツアーでしか海外へ行けなかった。大手旅行会社が企画するツアーで、もちろん値段もベラボーに高かった。その後、80年代後半からエイチ・アイ・エスに代表される格安航空券を販売する旅行会社が台頭して航空券代は下がったが、自由度のなさは今でも相変わらずだ。
LCCのヴァージン・オーストラリア
アジアのジェットスターがLCCであることは日本人の皆さんもご存知のことだろう
基本的に1社の路線しか使えないため行き先は一定の都市とルートから選ぶしかなく、乗り継ぎ便だと行きも帰りも同じ都市に寄るので効率が悪い。必ず行きと帰りの便を購入してから出発するのもツアーが基準になっているからだ。さらに、格安航空券は予約が確定するかどうかが旅行会社の都合で決まり、やきもきさせられるのも難点だ。
低料金で自由度の高いLCC
ところが、である。
LCCの航空券は片道単位で購入でき、旅程も自分で自由に決められる。つまり、国内線や新幹線と同じ感覚で使えるのだ。具体的にこんなケースがある。
上海でおいしい広東料理を食べ、香港でスパや高級系ホテル滞在を楽しみ、シンガポールでカジノにチャレンジし、クアラルンプールで値ごろ感のある買い物をする。この旅をLCCですると、茨城→上海、上海→香港を春秋航空、香港→シンガポールをジェットスター・アジア、シンガポール→クアラルンプールをエアアジア、クアラルンプール→羽田をエアアジアという効率的なひと筆書きの旅ができる。値段は時期によるが、今年6月下旬から7月上旬までの間なら、全部で約3万3,000円と激安だ。エアアジアのように燃油代がゼロのケースもあるなど、LCCは燃油代の負担も小さい。
これと同じルートを回れるレガシーキャリアはない。そう、ないのだ。
どんな航空会社にも乗れる、いわゆるノーマル運賃を使えば回れるが、値段がベラボーに高く論外だ。あえてレガシーキャリアを使うなら、上海と香港の旅、シンガポールとクアラルンプールの旅と、2回に分けなければならない。値段も高くなり、同時期で、前者が中国東方航空利用で2万1,000円、後者がシンガポール航空利用で3万8,000円、合計5万9,000円。これに燃油代がかかる上に、2回行けば空港までの交通費は単純に2倍だ。
もちろん、レガシーキャリアの航空券で行ける都市から行き先を選ぶ、あるいは出発直前に予約をするといった工夫をしたり、さらには機内食が付いていて預け荷物も一定量まで無料という特徴を考えるとレガシーキャリアの方が安いケースもある。ただ、自由度の高さという視点ではLCCの方が上だということである。ネットで即予約できるので、極端な話、出発便だけ買って行き、途中で行き先を考えながら航空券を買ってもいいのだ(国によっては、帰りの便の航空券やその控えの提示を求められるので注意)。
ちなみに、LCCは片道単位の発券だから、それを繰り返して旅すればやがて地球を一周できてしまう。航空券代だけなら、20万円台でアジア、オセアニア、北アフリカ、ヨーロッパ、北米、ハワイという世界一周旅行が実現できる。
デルタ航空、「エコノミーコンフォート」を日本発着の全ての便に導入
デルタ航空は7日、国際線長距離路線において好評を得ているというエコノミークラスのプレミアムシート「エコノミーコンフォート」を短距離路線にも導入する。飛行距離が750マイル(約1,207km)を超えるデルタ航空の全運航便に導入となり、日本発着路線ではボーイング757-200型機を使用しているグアム、サイパン、パラオ、ソウル行きの便が追加され、日本発着の全ての便にエコノミーコンフォートの座席が設置されることになる。
特別デザインのシートカバーを使用する「エコノミーコンフォート」
同座席は、同社が保有する幹線用機材550機以上のエコノミークラスの前方3~5列目に配置され、標準的な国際線エコノミークラスの座席よりも足もとが最大4インチ(約10.2cm)広く、リクライニング角度が1.5倍となる。利用者は、国際線エコノミークラスでの標準サービスに含まれる食事、ビール、ワイン、日本酒、エンターテインメント、ブランケット、枕の無料サービスに加え、優先搭乗サービスと、カクテル、リキュール類を無料で楽しむことができる。また、個人用モニター搭載の機材では、各座席に電源が設置されているほか、HBOチャンネルのテレビプログラムなど、無料コンテンツを楽しめる。
同シートを利用するには、エコノミークラスの航空券を購入した場合は、該当路線の飛行距離に応じて追加料金を支払う必要がある。片道あたり米国内線は19米ドル~、国際線の短距離路線は40米ドル~、国際線長距離路線は最大180米ドルを追加することで、エコノミーコンフォートの座席を選択できる。正規運賃のエコノミークラス航空券購入の際は、無料で変更が可能となっている。