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<NHK会長ハイヤー>「おとがめなし」残った三つの疑問
NHKの籾井勝人(もみい・かつと)会長の私用ハイヤー代立て替え問題。秘書室の対応が「ずさんだった」とする監査委員会の調査報告が経営委員会で了解され、会長はおとがめなしだった。この問題はNHKの2015年度予算の国会審議の中でも取り上げられてきたが、報告書には少なくとも三つの疑問が残されている。
【写真】「外部対応業務」と記述が… 籾井会長が私用で利用したハイヤー乗車票のコピー
▼その1 籾井会長が車の手配を頼んだ際に「ハイヤー代を自分で支払う」と言ったという具体的な記述がない。
3月19日に開かれた臨時の経営委員会で、疑問に思った経営委員の一人が指摘した。報告書には「監査委員が3月6日に事実確認の聴取を行ったところ、会長は当初からハイヤー代金を自己負担する意向を示していたと述べ(た)」とあるだけだ。
籾井会長に聴取したのは上田良一監査委員長自身だが、上田氏は「(昨年)12月26日に秘書室に(車の手配を)依頼したところで、自分で支払うとの言及があったのではないかと思います」とあいまいな返答に終わった。
▼その2 秘書室には2月上旬にハイヤー代の金額は伝わっていたが、秘書室長は会長にハイヤー利用を提案しながら、3月6日まで気づかなかった。
NHKのハイヤー代の経理処理の手順によれば、1月2日の利用分の代金は、2月上旬には「ハイヤー乗車票」に記入された形で、各部局に伝えられる。秘書室だけでなくほかの部局にも共通する手続きだ。
秘書業務を統括する堂元光副会長は参院総務委員会で、秘書室長が料金4万9585円を知ったのは「3月6日」と明かした。公私の区別を付けるべく、籾井会長にハイヤー利用を提案した秘書室長が、1カ月以上、失念もしくは放置していたことになる。報告書では経緯についての記述は少なく「秘書室職員が失念していた」「職員の間で支払い手続きについても認識が不十分だった」と記すにとどまっている。
▼その3 監査委員会の調査方法は適切だったのか。
上田氏は、参院総務委員会で、事情聴取した秘書室職員は「3人」と答弁した。「本件に絡む方々を特定して事情聴取した」とも述べている。秘書室の職員は室長以下9人。会長のハイヤー代の経理処理のため1月13日に「ハイヤー乗車票」を起票しただけでも室長を除く男女3人の職員が関わっているが、全員に話を聴いているわけではない。
監査の原則からすれば、関係者全員に話を聴くのが基本。しかもこの起票を契機に、会長のハイヤー利用が業務扱いで支払い手続きが進められ、一時的にせよ受信料が私的な目的で使われた。籾井会長も3月23日の民主党総務部門会議で「この時点で私のところに尋ねなかったのが最大の原因」と述べている。
疑問を残したままこの問題を終わりにしてよいのだろうか。視聴者の信頼こそが受信料で運営される公共放送の根幹。十分な調査と明確な説明が求められている。【望月麻紀】