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安倍政権の地方再生はしょせんバラマキ【現役金融マン ぐっちー氏】
“地方再生”“地域おこし”を合言葉に、安倍政権が大規模なバラマキ政策を敢行する。政治家、役人が先のことを考えず推し進めるこの政策の落とし穴を指摘し、ぐっちーさんが本当の“地方創生”を提言する。
◆バラマキによる地方創生は国民の重荷になるだけです!
(現役金融マン ぐっちー氏)
安倍政権は地方創生と称して、社会保障費を合わせると1兆円近い予算を組んでおり、地方再生の名を借りた大規模なバラマキがいよいよ行われようとしています。
震災復興関連でもバラマキ事業は多数見受けられます。
岩手県釜石市は震災復興の名のもとに’19年ラグビーワールドカップの招致を目指し、新規ラグビー場建設に数百億円の公共投資をつぎ込もうとしています。人口約3万人の釜石市がワールドカップ級のスタジアムをどう維持するのでしょうか。
維持費だけで釜石市の財政は疲弊し、結局、国民の税金が復興の名のもとに永遠に浪費されるのです。
また、復興とは直接関係ありませんが、都会の人に地方でビジネスを起こしてもらって地域活性化を促進しようという「地域おこし協力隊」なる制度があります。
これは補助金の対象で、任期終了後も彼らに残ってもらうためにさらに補助金を出して、彼らの企業を支援するということになりました。これによってどういうことが起こるのか、政治家や役人は想像できないわけです。
もし、これに応募して稼いだ分は無税でいい、という話なら、東京で稼ぐよりはるかに節税できるので、腕に覚えのあるチャレンジングな起業家は地方に集まるかもしれません。
しかし、年間わずか数百万円の手当て、起業のために補助金がもらえるという制度において集まる人はどんな人でしょう? おそらく趣旨とは真逆の、いわばビジネスを立ち上げて儲ける能力のない人が補助金目当てで都会からやってくる事態になると思います。
その他、地方にはさまざまな企業、就業支援の手当てがあるのですが、それも彼らの「収益」ターゲットとなります。
ひらたく言えば都会で儲けられない「敗者」が補助金目当てに地方にくるという図式にしかならず、これでは地方の重荷になるだけです。
本当に地方再生の役に立つような人は東京に存在する人的集積が最も重要なアセットだと考えています。同じように地方出身の稼げる人たちも人的資本を求めて東京に集まる、ということになり、地方ははなから活性化しない……、という結末です。
⇒【後編】地方創生に必要なのはバラマキではなく魅力的な制度づくりに続く http://hbol.jp/27801
【選者】現役金融マン ぐっちー氏
ウォール街で20年生きてきたノウハウからブログを執筆するアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://sweetpoolside.jp/)を主宰している