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[FT]欧州、失業率10%の国は改革急務(社説)

 [FT]欧州、失業率10%の国は改革急務(社説)

 

  春は、欧州経済の待ちに待った回復の兆しを運んできた。時期的に早くはない。欧州連合(EU)は、おそらく世界最大の貿易圏だ。しかし、成長のペースは英国の半分、米国にはさらに後れを取り、長い間、世界で最も不活発な地域のひとつとなっている。

 職業安定所に並ぶ人々。2月のスペインの失業者数は約450万人だった(3日、マドリード)=ロイター

 

  責任を分かち合うとすれば、常に需要側の責任が指摘され、それはある程度正しい。欧州中央銀行(ECB)は危機の間に2回金利を引き上げることでインフレの一時的な上昇に過剰反応を示した。財政政策はやはり無視された。北部の強国は、より拡張路線での他国支援を拒絶し、財政健全化の美徳について役に立たない小言を言い続けた。その結果、消費の伸びの低迷が何年も続き、域外の同等の国より何カ月も早くデフレに見舞われることになった。

  ECBは、2012年により緩和的な政策をとるドラギ総裁に引き継がれた。同総裁は、本格的な量的緩和に消極的なECBのなかで苦闘のうえ、消費低迷に取り組むという適切な決意を示した。しかし、これに成功しただけでは欧州の慢性的な病気を治したことにはならないだろう。ECBは、ドラギ氏の政策でインフレ率が目標値に戻った後でさえ、失業率は10%付近にとどまると予想している。これは明らかに、経済が構造的な欠陥で分断されていることを示すものだ。

 ■域内で国際競争力に開き

  欧州のなかで将来の運命が分かれることを示すさらなる証拠がある。EU加盟により一国の経済が衰退をたどるという話ではない。EU加盟国は、国際競争力にかなりの開きがあるのだ。世界銀行によると、デンマークの国際競争力は4位、ドイツは14位、イタリアは56位だ。

  ドイツは、つい02年までは「欧州の病人」と冷笑されていた。この侮辱の言葉は英国から受け継いだものだ。英国もドイツも断固たる改革を通じてこのレッテルを捨てた。英国は、1980年代に経験した高水準の失業率には二度と戻っていない。ドイツも10年前に労働福祉改革を行ったことで、同じように力強い雇用市場を謳歌している。

  欧州は今、病人がひしめく待合室だ。フランスの失業率は10%、イタリアは12%、スペインは23%。マクロ経済の弱さが不利に働いている。雇用の需要減もそうだ。失業手当を受給する労働者は競争に対する能力も意思も失いやすい。そうはいってもサプライサイド(供給側)の問題はあふれ、最近の危機以前から存在している。

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