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奈良県森林技術センター、竹を主成分とするバイオマスプラスチックを開発

奈良県森林技術センター、竹を主成分とするバイオマスプラスチックを開発 

 奈良県森林技術センターは、竹材(竹粉)を80%含有するバイオマスプラスチックを開発したことを発表した。同成果は産業技術総合研究所、京都工芸繊維大学、シヤチハタとの共同研究によるもの。

 木粉とポリプロピレンなどの熱可塑性プラスチックを混練して得られる成形物はWPC(Wood Plastic Composite:木材プラスチック複合体)と呼ばれ、ウッドデッキなどとして市販されている。しかし、木材は親水性で、プラスチックは疎水性であるため、両者の親和性は低く、木粉はあくまで増量剤的に用いられるにすぎなかった。さらに、木粉率が50%程度であるにもかかわらず、湿度変化による寸法変化が大きかったり、流動性が低く成形方法が限られるなどの課題もあった。

 一方、竹は成長量が莫大で、資源として地域に豊富にありながら、ほとんど利用されていないため、放置されて荒廃した竹林の面積増大が西日本を中心として問題となってきている。

 そうした状況の中、同センターは、木材の寸法安定化や高耐久化(腐朽菌やシロアリに対する抵抗性)を目的として、二百数十℃での「過熱蒸気(低温炭化)処理」の試みを進めており、その1つとして竹材に同処理を施し、細粉化して熱可塑性樹脂と混練することを提案していた。低温炭化により竹粉は疎水化されて、80%の竹粉率であっても、熱可塑性プラスチックとの相溶性が改善され、結果として成形時の流動性が良く、成形品の強度性能が改善、また成形品の吸水性やそれに伴う寸法変化の抑制、そして耐久性が向上することなどが確認されたという。

 強度物性(無処理竹粉を用いた時との比較)

 同技術については、産総研と共同で特許出願が行われており、京都工芸繊維大学での射出成形実験や香川県産業技術センターでの押出成形実験などを経て、種々の方法で多様な成形ができることも確認されたという。

 低温炭化処理後の竹チップ

  射出成形された竹粉配合プラスチック

 なお、現在シヤチハタが、同バイオマスプラスチックを原料として射出成形した印肉ケースの試験販売を開始しているという。

 シヤチハタが試験販売を開始した竹バイオマスプラスチックの印肉ケース

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