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列車ダイヤを楽しもう (36) JR北陸本線から第3セクター鉄道へ

 列車ダイヤを楽しもう (36) JR北陸本線から第3セクター鉄道へ

 

 北陸新幹線長野~金沢間開業にともない、旧JR北陸本線金沢~直江津間が第3セクター鉄道に経営移管された。金沢~倶利伽羅間がIRいしかわ鉄道、倶利伽羅~市振間があいの風とやま鉄道、市振~直江津間がえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインとなった。あわせて在来線特急列車の廃止、地域輸送重視の普通列車増発、快速列車の運転が実施されている。長距離輸送は新幹線に譲り、地域重視の鉄道になったわけだ。ダイヤ改正前後のダイヤを比較して、変化の様子を眺めてみよう。

 当連載第13回でも紹介したように、JR時代の金沢~直江津間は「特急銀座」だった。当時のダイヤは特急列車が最優先で、その隙間をついて普通列車が設定されていた。

 JR北陸本線だった頃の金沢~直江津間の平日ダイヤ(2015年2月)

 赤が特急列車、黒が普通列車。特急列車が多すぎて普通列車が埋もれてしまったので、普通列車を太線で示した。緑色は寝台特急「トワイライトエクスプレス」だ。「トワイライトエクスプレス」は上下ともに明るい時間帯にこの区間を通過する。下りはまさにトワイライトタイム。車窓からは景色をたっぷり楽しめて、沿線からはシャッターチャンスだった。

 列車の運行本数が多い区間は上辺側の金沢~津幡間だ。金沢~富山間の列車に加え、JR七尾線へ乗り入れる列車がある。大阪・名古屋からやって来た特急列車は、金沢駅で富山方面・和倉温泉方面の列車に分割され、それぞれ金沢~津幡間を走った。つまり、運行本数が倍になっていた。

 普通列車を見ていくと、金沢駅・富山駅付近の運行本数が多い。石川県・富山県の中心都市だから当然のこと。朝と夕方の通勤通学時間も増発している。富山駅では、高岡方面のほうが泊方面より運行本数が多い。泊方面の黒部駅までは富山地方鉄道があるので、その分運行本数は少なめといえそうだ。泊~直江津間はやや寂しい。運行間隔も1~2時間おきになっている。気軽にお出かけという気分にはなりにくい。行きも帰りも時刻表を調べて、時間を有効に使いたい区間だった。

 さて、この区間が現在はどうなっているか?

 第3セクター鉄道の路線となった金沢~直江津間の平日ダイヤ(2015年3月)

 こちらでは運行本数が激減した特急列車を赤い太線、第3セクター鉄道線内を走る快速列車を青い太線で強調してみた。緑色の「トワイライトエクスプレス」はもういない……、と感傷に浸ってもしかたない。「トワイライトエクスプレス」どころか、特急列車が消えてスカスカになっている。金沢駅から能登方面を結ぶ特急列車は残っているけれど、それでも運行本数は少ない。

 普通列車を見てみよう。全体的にJR時代とほぼ同じ運行本数が確保されているようだ。運行本数の多い区間も同じ。第3セクター鉄道に移管されたけれど、列車の運行については金沢駅から富山駅、富山駅から泊駅、泊駅から糸魚川駅、糸魚川駅から直江津駅で区切られている。第3セクター鉄道の境界駅は倶利伽羅駅・市振駅だけど、そこで列車を乗り換える必要はない。乗客の便利さは変わらない。

 むしろ、こちらのほうが普通列車の運行間隔が等間隔に近づいている。特急列車が消えたので、追い越されるために駅で待避する必要がなくなったし、始発駅の発車時刻も自由に設定できるようになった。とくに、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインは早朝と夕方に増発されている。通学生に便利なダイヤになったようだ。

 日中の普通列車を見ると、あいの風とやま鉄道の高岡~富山~泊間が等間隔になった。IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道の津幡~高岡間もほぼ等間隔になっている。運行間隔はやや狭くなったから、若干の増発といったところだろうか。

 青い線の列車に注目しよう。金沢駅と泊駅を結ぶ快速タイプの「あいの風ライナー」は、泊発金沢行が朝と夕方に1本ずつ、泊発富山行が夕方に1本、金沢発泊行が夕方に3本の設定だ。ホームライナーのような設定といえる。線の傾きが普通列車に比べると急角度で、かなりの俊足といえそうだ。この列車を日中にも走らせ、大阪・名古屋方面と金沢駅を結ぶ特急列車に接続できたら地元の人々にとって便利だと思う。新幹線に遠慮しないで走らせてもいいと思う。

 えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの快速列車も朝と夕方以降に設定されている。これも直江津方面への通勤を考慮しているようだ。ただし、糸魚川駅を10時台に発車する快速は通勤時間帯から外れている。これは普通列車でも良さそうだ。なぜ快速なのかというと、この列車は直江津駅で新潟行の特急「しらゆき3号」に接続している。それならもっと早く泊駅を発車して各駅停車でも良さそうだが、泊駅で高岡発の普通列車に接続している。2つの列車と接続するために、快速運転で橋渡しをしているようだ。

 もうひとつの謎がある。日本海ひすいラインの快速列車は1往復だけグリーン車を連結している。糸魚川駅を7時59分に発車する新潟行と、糸魚川駅20時13分着(新潟発)の列車で、ダイヤ改正前の特急「北越」に似た時間帯を走る。この路線で唯一のグリーン車だ。

 JR東日本のプレスリリースによると、この列車は485系6両編成とのこと。「新潟~直江津間でグリーン席をご利用の場合は、普通列車グリーン料金が必要となります」とある。しかし、えちごトキめき鉄道側にはグリーン料金の設定がない。JR時刻表3月号にはグリーン車マークが付いているから、車両締め切りで使用禁止というわけではなさそう。糸魚川~直江津間では、乗車券のみでグリーン車に乗れるようだ。北陸地方の第3セクター鉄道を乗り継ぐときは、ぜひ日程に組み込んでみたい。

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これぞ北陸の黒! 本当に真っ黒なラーメン「富山ブラック」ならこの店に行け

 これぞ北陸の黒! 本当に真っ黒なラーメン「富山ブラック」ならこの店に行け

 

 北陸新幹線のおかげで、富山は首都圏から気軽に日帰りもできる場所になった。その富山が誇る究極のB級グルメ「富山ブラック」をご存知だろうか? 名前の通り真っ黒なスープが異彩を放つラーメンは、濃厚でパンチの効いた味わい。富山で下車するならぜひ味わってほしい逸品だ。そこで今回、地元民にも人気の富山ブラックの有名店を紹介しよう!

 労働者のために生まれた「富山ブラック」は見た目にもインパクト十分!

ネット上で命名されたラーメン

 「大喜」の屋号を受け継いだのが「西町大喜」(写真は西町本店)

 富山ブラックの原型は、昭和22年(1947)に誕生したとされている。大空襲に見舞われた富山の復興の一端になればと、とある屋台の店主が汗を流す労働者のために、塩分濃度が高い濃厚醤油スープを楽しめるラーメンを売り始めたのが始まりだという。ここであえて”原型”と言ったのには理由がある。この時、富山ブラックという名称はまだなかったのだ。

 その屋台は後に「大喜」という屋号で店舗を構えたが、2000年頃に惜しまれながらも閉店。貴重な味を絶やさないようにとすぐに屋号を引き継いだのが、現在富山市内で展開している「西町大喜」である。西町大喜をはじめとした富山市内の数店が提供する濃厚醤油の黒いスープのラーメンが、ネット上で富山ブラックと呼ばれるようになったことで、今日、全国に知られる富山のご当地ラーメン・富山ブラックが定着していったという。

 富山ブラックという呼び名が定着してからはさらに提供する店が増え、地元の人によると「20~30軒ほどの店で富山ブラックは出されているのではないか」、ということだった。果たしてどんな味なのか、実際に食べ歩いてみよう。

元祖の味を継承する「西町大喜」

 やっぱり気になるのは、元祖の味がどのようなものだったのかということ。閉店した大喜の味を継承した西町大喜は、富山市内に4店舗を展開している。富山ブラックの原点を知るにはこの店しかないだろう。

 今回訪れた西町本店で注文したのは、富山ブラックのオーソドックススタイルともいう「中華そば・並」(750円)。濃厚な醤油スープに太めのストレート麺、そして同店ならではなのが、塩辛く煮込んだメンマだ。このメンマだけでも、汗とともに失われた塩分とミネラルがチャージされそう。

 さらに、チャーシューと粗切りネギもたっぷり。実に豪快でパンチの効いた味に仕上げられているため、ご飯と一緒に食べることをオススメしたい。まさしく労働者のための味と言えるだろう。

 「西町大喜」の「中華そば・並」(750円)

オリジナル魚醤で勝負する「麺屋いろは」

 次に向かった「麺屋いろは」は、地元・富山だけでなく関東、関西、海外にも展開しており、東京ラーメンショーで2014年売り上げ第1位、通算5度の日本一に輝いた実績もある。そのため、富山ブラックと言えばいろはをイメージする人も多いだろう。

 今回、射水本店で注文したのは「富山ブラック味玉ラーメン・並」(870円)。黒々とした見た目はいかにもしょっぱそうだが、意外にあっさり。それでいて深いコクがあり、とても食べやすい味に仕上げられている。味の秘密は鶏ガラと魚介を合わせたスープ、そしてオリジナル黒醤油・魚醤とのこと。富山ブラック初挑戦の人は、まずはいろはから食べてみるといいかもしれない。

 「麺屋いろは」の射水本店

 「富山ブラック味玉ラーメン・並」(870円)

無添加スープと手打ち麺にこだわる「万里」

 オープン以来、”化学調味料無添加””極低かん水””青竹手打ち麺”の富山ブラックを提供し続けている、富山市内で営業する「万里」も注目の店。

 天然昆布から出る豊かな旨みに加えて、かん水を最小限しか含んでないヘルシーな麺は手打ちならではの強いコシで歯ごたえ抜群だ。独自の工夫を重ねてきた富山ブラック「ラーメン」(800円)が人気の同店だが、ぜひここはトッピング「土佐丸」(200円)も加えて味わっていただきたい。

 「土佐丸」はこれまで、高原価のため期間限定でしか出せなかったそうだが、このほど通年で提供されるようになった。国内最高水準の本枯れかつお節と有明の海苔がセットになっており、かつお節は麺の上に、切れ込みが入った海苔は器の上にのせていただく。海苔の切り込みから麺をすくって食べていくスタイルで、食べ進めるうちに海苔はスープの中に溶けていき、富山ブラックの味わいをぐっと深めてくれる。

 「万里」の「ラーメン」(800円)

 「ラーメン」にかつお節と海苔「土佐丸」(200円)をトッピング

親しみやすい味を目指した「次元」

 最後の一滴まで飲みきれる、親しみやすい富山ブラックを希望する人は富山・高岡市に店を構える「らぁめん次元」へ。ここの富山ブラック「黒醤油ラーメン」(680円) は、見た目はあくまでもブラックながら、魚介の旨味を閉じ込めたスープは濃厚過ぎず、それでいてあっさりしすぎないのが特長。もちろん、富山ブラックらしいコクのある醤油の風味もしっかりである。

 「らぁめん次元」

 「黒醤油ラーメン」(680円)

具沢山なつけ麺タイプの「つけめん えびすこ」

 富山ブラックをつけ麺で味わえるのが、富山市内に店を構える「つけめん えびすこ」。豚の角煮やチャーシュー、牛スジなどを入れた濃厚なスープと、腰の強い自家製麺は相性抜群。「変化玉」と名付けられた半熟玉子を途中で割って黄身を出し、味を変えるのがえびすこ流だ。また、ボリューム満点なのもこのつけ麺の魅力。店ではIHヒーター付きで提供してくれるので、スープは最後まで温かく保つことができる。そんな優しい配慮も、おいしく感じられるポイントだろう。

 「つけめん えびすこ」の「特製つけめん(変化玉付き)」(950円)

 ●information
 つけめん えびすこ
 富山県富山市上袋58-1

 同じ富山ブラックであっても店によって個性はそれぞれで、大きく分けると「元来の味を変えない店」と「地元以外の人にも親しみやすいように味を変えている店」と言えそうだ。とは言え、どの店も名前の通りブラックなので、初めての人は見た目にびっくりしてしまうかもしれない。そんな人もはまってしまうのが富山ブラックの魅力。思う存分、食べ歩いていただきたい。

 ※記事中の情報・価格は2015年2月取材時のもの。価格は税込

東京都「東急プラザ 渋谷」が49年の歴史に終止符

 東京都「東急プラザ 渋谷」が49年の歴史に終止符

 

 東急不動産と東急不動産SCマネジメントは3月22日、渋谷駅前で49年にわたり営業を続けてきた「東急プラザ渋谷」を閉館する。

 現在と開業当初の「東急プラザ 渋谷」

 同館は昭和40年(1965)6月13日に、「渋谷東急ビル」の専門店複合商業ビルとして渋谷駅前に開業。その後49年間にわたって営業を続けてきたが、渋谷道玄坂エリア一帯の再開発にともなって閉館が決定した。「東急プラザ渋谷」の跡地には2018年度、渋谷の新たな玄関口を担う拠点として新施設が開業する予定となっている。

 「東急プラザ渋谷」の変遷
 1965年6月 「渋谷東急ビル」で開業
 1973年6月 「渋谷東急プラザ」に名称変更
 1983年10月 全館リニューアルの第一弾として、9階に「味の名店街」をオープンし、7・8階に「カルチャースクール」を開講
 1985年9月 全館リニューアル第二弾として、B1階に丸鮮渋谷市場がオープン。ターゲットを30~40歳代の女性に据えて展開開始
 2004年3月 9階レストラン街を「ダイニングアベニュー渋谷[Shokutsu]」にリニューアル
 2007年3~5月 施設の顔である1階および2階をリニューアル
 2012年4月 「東急プラザ渋谷」へ名称変更
 2015年3月22日 「東急プラザ渋谷」閉館
 

鉄道トリビア (296) 上野東京ライン、最長距離普通列車は268.1kmを4時間48分で走る!

 鉄道トリビア (296) 上野東京ライン、最長距離普通列車は268.1kmを4時間48分で走る!

 

 上野東京ラインが開業した。湘南新宿ラインの開業時のように、上り列車(東京方面)の利用者にとっては、見慣れない行先がたくさん現れて戸惑ったかもしれない。時刻表4月号をもとに調べると、始発・終着となる駅は27もある。運転区間のパターンは100を超える。

 上野東京ラインの普通列車の始発・終着駅

 この図では上野~東京間を走行する列車に限定し、東海道線の品川駅・東京駅発着、宇都宮線(東北本線)・高崎線・常磐線の各線内の上野駅発着などを除いている。上野東京ラインでも、すべての列車が上野駅や東京駅を通過するわけではなかった。たとえば宇都宮線(東北本線)側でも東京駅着の列車があるし、東海道線側にも上野駅発着の列車がある。上野東京ラインの開業で、上野駅は終着駅ではなくなってしまうと思った人も多かったようだけど、実際は北からも南からも上野駅発着の列車があった。

 東海道線側から見て耳慣れない行先駅は、「籠原」「黒磯」「取手」「勝田」「高萩」あたりだろうか。知名度のある都市というよりは、電車の車庫の都合などで設定される駅である。「籠原」は高崎線熊谷駅の1駅先、「黒磯」は宇都宮線(東北本線)宇都宮駅のもっと北で、那須塩原駅の1駅先である。「取手」は常磐線快速の終点で、直流電化区間の境界の手前。「勝田」は常磐線水戸駅の1駅先。「高萩」は勝田駅のさらに北で、福島県に近い。

 宇都宮線・高崎線側から見慣れない駅は「沼津」「国府津」「平塚」だろうか。「沼津」は静岡県、伊豆半島の西側の付け根にあたる。東海道新幹線も停車する三島駅の1駅先だ。「国府津」は小田原駅の2駅手前、「平塚」は茅ヶ崎駅と大磯駅の間にある。

 図の中で、「藤沢」「二宮」「氏家」は始発列車のみで終着列車はない。だから行先表示には現れない。これらの駅は各路線のなかでも珍しい始発駅である。

走行距離の長い列車、短い列車

 最も長距離の列車と短距離の列車を探してみた。最長距離列車は熱海駅と黒磯駅を結ぶ列車で、黒磯行が2本、熱海行が1本ある。走行距離は268.1km。所要時間の最も長い列車は熱海駅18時51分発・黒磯駅23時39分着の列車で、所要時間は4時間46分だ。距離の次点は黒磯駅と小田原駅を結ぶ列車で247.4km、3位は前橋駅発沼津駅行の240.8km、4位は宇都宮駅と沼津駅を結ぶ列車で235.7km、5位は氏家駅発熱海駅行の231.7kmだった。

 逆に最短距離の列車は、平塚駅と上野駅を結ぶ67.4km、次点が東京発籠原行の71.3km、3位は品川駅と取手駅を結ぶ50.0km、4位は品川発土浦行の76.4km、5位は品川駅と成田駅を結ぶ76.8kmとなった。やはり品川駅止まりの常磐線は短距離列車が多いようだ。しかし、上野東京ラインの中で、東京駅から最も遠い駅は常磐線の高萩駅である。東京駅からの距離は168.3km。ちなみに東京駅から沼津駅までは126.2kmだ。

 最長距離列車の熱海発黒磯行の列車に乗ると乗車券は4,750円。全区間乗車にチャレンジするなら青春18きっぷがおすすめ。グリーン料金は51キロ以上は同額なので乗り得だ。最も安い値段でホリデー料金の780円となる。ただし、最長時間列車は夕方から深夜にかけて走るから、車窓を楽しめそうにない。黒磯駅6時52分発・熱海駅11時29分着、所要時間4時間37分の列車か、熱海駅11時32分発、黒磯駅16時18分着、所要時間4時間46分の列車なら楽しそう。熱海駅でとんぼ返りすれば往復乗車もできそうだ。

ご当地ラーメンを求めていざ行かん! 全国ぐるっと食べ歩きのススメ

 ご当地ラーメンを求めていざ行かん! 全国ぐるっと食べ歩きのススメ

 

 以前、マイナビニュース会員の男女400名に「ラーメンがおいしい都道府県」をうかがったところ、1位北海道、2位福岡、3位東京、4位京都、5位広島という結果になった。都道府県を聞いて「あのラーメンだな」と、気がついた人もいるだろう。もちろん、それ以外の都道府県でも全国に知られる至極の一杯はいろいろある。ちょっとここで、ラーメンで全国巡りなんていかがだろうか。

北海道は醤油、味噌、塩だけじゃない!

 まずはランキング第1位となった北海道のラーメン。会員からは、「醤油、味噌、塩など種類が豊富なご当地ラーメンがある」というコメントがあるように、北海道ではその地域によって様々な味が展開されている。札幌=味噌、旭川=醤油、函館=塩、というのが定番の勢力図だが、あわせてライスも頼みたくなる室蘭の「カレーラーメン」や、細麺で漁師好みの濃い醤油の「釧路ラーメン」なるものもある。バリエーションの豊かさからも、北海道は本当に広大ということを実感させられる。

 函館・大国屋の「塩ラーメン」

 「しのぎを削る北海道ラーメン事情 -「函館ラーメン」はほかとこう違う!」

 函館・グリル塩豚(えんとん)の「塩ラーメン」

 「函館の激安300円塩ラーメン、実はこだわり満載の逸品だった!」

 札幌・鈴蘭の「味噌らーめん」

 「サッポロラーメンの原点に出合える店はココ!」

 室蘭・味の大王 室蘭本店の「カレーラーメン」

 「北海道のラーメン地図を塗り替える第4勢力「カレーラーメン」の実力とは?」

 釧路・たんぽぽの「唐揚げラーメン」

 「北海道第4のご当地ラーメン「釧路ラーメン」は漁師好みの濃厚さがスゴい!」

 一方、青森には北海道のラーメン店が青森で発展させた「味噌カレー牛乳ラーメン」なるものもある。「味噌なのかカレーなのか、もしかして牛乳味!? 」などと考えてしまうのだが、3者がいい意味でせめぎ合い、刺激はあってもマイルドな味に仕上がっている。また、山形では郷土料理の「とりもつ」をラーメンにも生かしたこってり系「とりもつラーメン」もある。

 青森・味の札幌 大西の「味噌カレー牛乳ラーメン」

 「本当においしいの? 青森で話題の「味噌カレー牛乳ラーメン」の実態に迫る」

 山形・一茶庵支店のとりもつラーメン「一茶ラーメン」

 「ラーメンが”愛をとりもつ”!? 山形で話題の「とりもつラーメン」とは?」

関東にも個性が光るラーメンが!

 今度は関東。ランキングで第3位になった東京は、「全国のうまいラーメンが集まっているから」というコメントがあるように、どちらかという東京ならではよりも大都市ゆえの吸引力が理由になっているようだ。だが、関東にもその地域ならではの味はある。

 全国でも知名度が高い栃木「佐野ラーメン」は、実はよく見るとシンプルな一杯。とは言え、竹で麺を打つ「青竹打ち」や毎日食べる人を飽きさせないコクのある醤油など、派手ではないが丁寧な仕事が求められるラーメンだ。ほかにも、豆腐を具にした埼玉の「豆腐ラーメン」や、ピリッとしたあんを太めの麺にかけて食べる茨城の「スタミナラーメン」も注目したいところ。なお、日本で初めてラーメンを食べたのが水戸黄門とされているが、その当時の味を再現した「水戸藩らーめん」も茨城にある。

 栃木・麺’Sショップおぐら屋の佐野ラーメン「ラーメン」

 「食べ比べて分かった! 栃木「佐野ラーメン」は普通すぎることが特長なのだ」

 埼玉・レストラン大手門の「豆腐ラーメン」

 「マーボラーメンとは違う! 埼玉で話題の「豆腐ラーメン」ってどんな味?」

 茨城・じゅんちゃんの「スタミナラーメンの冷やし」

 「ピリッと辛くてボリューム満点! 茨城県で愛され続けたスタミナラーメン」

 茨城・中国料理 金龍菜館の「水戸藩らーめん」

 「日本のラーメンは水戸黄門から!? 茨城「水戸藩らーめん」は素材もスゴい!」

 北陸新幹線の開業で何かと注目されている富山には、「ブラックラーメン」なるものがある。名前の通り醤油で真っ黒なラーメンなのだが、それは、汗をかく肉体労働者が塩分補給できるようにと生み出された一杯なんだとか。しかし、富山にはブラックのほか、ブラウンやレッド、ホワイトなどとカラフルなラーメンがあることにも注目していただきたい。

 富山・王虎の「ブラウンラーメン」

 「ブラックだけじゃない! 富山が誇るカラフルなご当地ラーメンたち」

京都と言えば濃厚こってり

 独特な食文化を持つ愛知にも、もちろんラーメンはある。最近、東京でも展開が増えてきた「台湾ラーメン」は愛知発祥だ。ミンチをトッピングしたこの激辛ラーメン、実は台湾には存在しない。ルーツを探ると、台湾人のオーナーがまかないで食べていた台湾の麺料理「担通麺(たんつうめん)」をアレンジしたのが始まりなんだとか。そのほか、八丁味噌を使用した「岡崎まぜめん」や、薬膳ラーメンとも称される栄養満点の「好来系ラーメン」などもある。

 愛知・味仙今池本店の「台湾ラーメン」

 「台湾には存在しない名古屋発の「台湾ラーメン」はどこから来たのか?」

 愛知・つけめん舎 一輝の「岡崎まぜめん」

 「八丁味噌使用の愛知「岡崎まぜめん」、和洋中どころかスイーツまである!」

 愛知・好来分店の好来系ラーメン「松」

 「名古屋の「好来系ラーメン」は、最後の一滴まで飲み干すべし!」

 「ラーメンがおいしい都道府県」ランキング第4位の京都は、「天下一品を食べてそう思った」というコメントがあるように、濃厚こってり系のラーメンを支持する声が多かった。その天下一品総本店もある京都市一乗寺界隈の中でも、とりわけ、叡山鉄道一乗寺駅の西側を走る東大路通は”ラーメンストリート”や”ラーメン街道”などとも呼ばれ、ラーメン激戦区となっている。

 京都・天下一品総本店の「こってりラーメン」

 「京都・一乗寺のラーメンストリートで濃厚こってり系京都ラーメンめぐり」

尾道ではラーメンと中華そばは別物!?

 「ラーメンがおいしい都道府県」で第5位になった広島は、ずばり、「尾道ラーメン」に対する評価だ。しかし、もう少し迫ってみると、「尾道ラーメン」と「尾道の中華そば」は違う存在ということが分かってくる。そのポイントは「豚の背脂」にあるようだ。

 広島・麺処 みやちの「中華そば」

 「広島の「尾道ラーメン」と「尾道の中華そば」は違うラーメンなのか?」

 同じ中国の鳥取には「牛骨ラーメン」がある。牛骨と聞くと、骨髄とゼラチンでものすごいこってりな感じがするかもしれないが、煮込みの火力を調整することでこってりにもあっさりにもなるんだとか。

 鳥取・香味徳 倉吉の牛骨ラーメン「ラーメン」

 「ダシは豚骨や鶏ガラでなく牛骨!? 鳥取「牛骨ラーメン」を食べてみると…」

 また、うどんのイメージが強い四国・徳島にも、豚骨ベースで少し甘みがあるスープが特徴の「徳島ラーメン」がある。トッピングに濃厚な味付けで煮込んだ豚バラ肉や生卵、モヤシなどが入っているところにも個性が光る。

 徳島・ラーメン東大の「こってり 肉入り」

 「徳島ラーメン誕生の影に「徳島ハム」あり! 徳島ラーメンのルーツを調査」

九州の豚骨はこんなに深い

 そして、「ラーメンがおいしい都道府県」の第2位福岡だ。こちらは言わずとしれた豚骨ラーメンのメッカ。同じ福岡でも博多や長浜、久留米では味も違うが、九州全体でも、福岡と熊本、鹿児島などでは麺も違えばトッピングも違う。九州人に「豚骨ラーメンが好き! 」などと言おうものなら、「どこの? 」と突っ込まれることは覚悟していただきたい。

 福岡・博多一幸舎の「一幸舎ラーメン」

 「福岡の地元っ子が選んだトンコツラーメン1位は親子三代が伝統を守る味 」

 熊本の「熊本ラーメン」(イメージ)

 「同じとんこつでもこうも違う! 福岡・熊本・鹿児島のラーメンを検証」

 なお、豚骨以外のラーメンももちろんある。その昔、まぐろの遠洋漁業の基地として栄えた港町であるの鹿児島のいちき串木野市には「まぐろラーメン」なるものがある。ラーメンの上にマグロの漬けやステーキなどが乗っているため、初めは見慣れない姿にびっくりするかもしれない。スープはというと、醤油や味噌豚骨などと様々だ。

 鹿児島・味工房みそのの「まぐろラーメン」

 「鹿児島にはマグロの漬けやステーキなどが乗った「まぐろラーメン」がある!? 」

 今回紹介したラーメン以外にも、全国には様々なラーメンが存在する。ご当地ラーメンにはその土地ならではの文化が一杯詰まっているので、ぜひ歴史をかみしめながら味わっていただきたい。

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上原健二
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