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原子力防災 県が手引案

 原子力防災 県が手引案

 ◇情報収集や避難、4段階

  県は福井県内の原子力発電所で原子力災害が起きた場合を想定し、初動対応や広域避難の手順を県職員用のマニュアル案としてまとめた。また、放射線を観測する持ち運び可能な装置や、甲状腺被曝(ひばく)のリスクを抑える安定ヨウ素剤をそろえた。(小野圭二郎)

  昨年度に広域避難計画を策定しており、具体的な活動内容の検討結果を案として示した。対応レベルは、放射線が漏れて影響を受ける危険性が高い「全面緊急事態」が最も高く、地震の震度や震源などによって「情報収集事態」「警戒事態」「施設敷地緊急事態」の計4区分を設定し、それぞれの活動内容をまとめた。

  初動対応では、「警戒事態」で、放射線の影響の広がりを測定するモニタリングを行い、持ち運びできる観測装置などで線量や空気中の放射性物質の濃度を測定し、県のホームページなどで数値を即時公表する。

  放射線漏れが確認されれば「施設敷地緊急事態」に移行し、災害対策本部を設置。危険性が高まれば「全面緊急事態」となり、約1080人態勢で24時間、対応に当たる。

  すでに乗用車に積める観測用のモニタリングポスト12台を購入し、原発から30キロ圏内の緊急時避難準備区域(UPZ)に含まれる高島、長浜両市の土木事務所に配備した。国などと測定データを共有できるシステム「RAMISES(ラミセス)」も導入。4月以降、福井県や岐阜県とも情報共有して本格運用する。

  避難は全面緊急事態で行う。屋内避難の指示や避難用の車両手配に入り、一定の線量を超えた地域では安定ヨウ素剤の服用を指示する、とした。国の指針もあり、住民2万9000人分、旅行客など2万人分の計29万錠を購入した。UPZ圏内の学校や病院に備蓄する。市の備蓄分を含めて、県原子力防災室は「万一に備え、予備もある程度必要」とする。

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「チクッ」痛み少なく…植物樹脂の採血針

 「チクッ」痛み少なく…植物樹脂の採血針

 西宮市の医療機器製造・販売業「ライトニックス」が、植物樹脂でできた採血針を世界で初めて開発、製品化し、代表の福田光男さん(65)が「ジャパン・ベンチャー・アワード2015」の中小企業庁長官賞を受賞した。環境に優しいとされ、痛みが少なくなるよう形状にも工夫を凝らしているのが特徴。福田さんは「地道な活動が認められてありがたい」と喜んでいる。(藤本幸大)

  • 針の素材や形状について説明する福田さん(西宮市で)
  •   同アワードは独立行政法人・中小企業基盤整備機構が主催し、新たな事業創出や市場開拓に挑戦する起業家を毎年表彰している。

      製薬会社、医療機器メーカーに約30年勤務した福田さんは「体への影響が少なく、子供が痛がらない針を作りたい」と2002年に同社を設立。3人で研究、開発を始め、約10年かけて樹脂製の針「ピンニックスライト」を製品化した。

      針の見た目は透明で、素材には手術の縫合糸などと同じで、トウモロコシのでんぷんを乳酸発酵させた「ポリ乳酸」を使っている。

    • 植物樹脂でできた針(ライトニックス提供)

        福田さんは痛みの少ない針とするにあたり、蚊に刺されても痛みを感じないことに着目。図鑑などで形状を研究し、蚊と同じようにギザギザにすることで摩擦が少ない針にすることに成功した。

        現在は月に約30万個を出荷。糖尿病患者の血糖値検査や、子供の感染症の検査など、微量の血液を採取する際に用いられている。昨年末には米国やシンガポールなど、海外にも輸出を始めた。植物樹脂のため、焼却処分も可能で、同賞では、患者の負担軽減と廃棄物問題の両方の解決に貢献すると評価された。

        今後はワクチン用の針も開発する予定。福田さんは「利用している人たちからも喜んでもらっている。今後も西宮から社会に貢献できる製品を生み出したい」と話している。

「サヨーサ」清めの滴

 「サヨーサ」清めの滴

 ◇春日大社で御湯之儀

  20年に1度の本殿の大改修・式年造替(しきねんぞうたい)が進む奈良市の春日大社で21日、祭神を本殿から仮住まいの建物に遷(うつ)す仮殿遷座祭(かりでんせんざさい)(27日)に向け、神職の身を清める御湯之儀(みゆのぎ)が行われた。

  神職は先月末から、肉食や外出などを慎む前精進に入っている。この日から、花山院弘匡(かさんのいんひろただ)宮司や権宮司ら6人が27日まで境内の斎館に籠もる正(しょう)精進に入る。残る約20人の神職も23日から6人に続く。

  斎館前では、巫女(みこ)の加奥満紀子さん(57)が、酒と米を入れた釜の湯に浸したササの葉を振りながら「サヨーサ、サヨーサ」と声をかけ、花山院宮司らに湯の滴をかけて清めた。

  奈良市の会社員西岡若子さん(46)は「なかなかみられない儀式を拝見できてうれしい。仮殿遷座祭もいよいよですね」と話した。

万博10年にぎわい再び

 万博10年にぎわい再び

 「愛・地球博(愛知万博)開幕10年」をメインテーマに、愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で21日、「春まつり」が始まり、大勢の人出でにぎわった=写真、中根新太郎撮影=。会場では、当時のイベントやパビリオン内の映像が流され、当時掲示されたポスターの展示も行われた。訪れた人たちは「万博期間中」さながらにステージで繰り広げられる世界の音楽やダンスなどを楽しんでいた。まつりは22日まで。

高齢者の万引き急増 孤立背景10年で37%

 高齢者の万引き急増 孤立背景10年で37%

 ◇70代女性 犯行6回・・・実刑

  県内で高齢者の万引きが増えている。県警が摘発した60歳以上による万引き事件は2013年、386件に上り、10年前と比べ37%増加した。背景に、「高齢者の孤立化」を指摘する専門家もいる。過去に逮捕された和歌山市の70歳代の女性に理由を聞いた。(星研介)

  「今思うと本当にばかなことをしました」。白髪交じりの小柄な女性は後悔の言葉を口にした。6畳のワンルームマンションで独り暮らし。「人様への迷惑を考えていませんでした」

  女性は神戸市の百貨店の紳士服売り場担当として定年まで勤め上げ、「ずっとお金に困ったことはなかった」と言う。

  暗転したのは定年後。「一緒に洋服屋を開こう」と誘われた同世代の出入り業者に退職金と貯金約500万円を託し、足りない分は借金した。「結婚せず、親の介護をやりきった。次は自分の人生を歩もうと思った」。しかし、開業話は進まず、業者の男性とはやがて連絡が取れなくなった。約100万円の借金が残った。友人らは阪神大震災で転居したため疎遠になっており、相談相手はいなかった。

  そんな頃、「食費を浮かそう」と魔が差し、初めて万引きをした。当時住んでいた兵庫県内のスーパーで、周囲の目を気にしながら、おにぎりなど1000円分を手提げかばんにしのばせた。店を出た所で、警備員に「おばあちゃん、分かるよね」と肩をたたかれた。しかし、その日は店長から注意を受けただけで済んだ。「二度とすまいと誓ったんですが……」

  2年後、同じ店で食品約1000円分を万引きした。今度は見つからず、やめられなくなった。雑誌やかばんも盗むようになった。5回目の犯行で逮捕された。窃盗罪で略式起訴され、罰金刑を受けたが、約3年後の11年秋、6回目の犯行で再び逮捕。懲役1年の実刑判決を受けた。

  女性は13年に和歌山刑務所を出所後、行政の支援を受けながら、社会復帰を目指している。自己破産し、借金は帳消しになった。ノートにびっしりとレシートを貼って家計簿をつけ、月約10万円の年金をやりくりする。散歩やテレビが楽しみという。「残り少ない人生、静かに暮らし、やり直したい」。女性はそう語った。

 

  ◇地域で啓発 抑止へ

  万引きの疑いで逮捕されたり、任意で取り調べを受けたりした件数は減少傾向にあるが、高齢者では増加している。

  県警によると、2013年は830件と03年から90件減った。しかし、このうち60歳以上(386件)は全体の47%を占め、03年の31%から大幅にアップした。警察庁によると、全国でも高齢者の万引きは全体の25%(04年)から41%(13年)に上昇した。

  刑務所を訪問し、服役者の心理分析をする東京未来大(東京)の出口保行教授(犯罪心理学)は「高齢万引き犯の増加には、地域から孤立した独居高齢者の増加が影響している」とし、「家族や友人ら周囲とのつながりが薄い人は、犯罪をすれば社会的な地位を失うというリスクを軽視する傾向がある」と指摘、予防策の必要性を訴える。

  県警は、スーパーへの防犯カメラの普及など抑止対策を進める一方、警察官による独居老人宅への訪問にも力を入れる。県警生活安全企画課は「地域との関係が薄い高齢者を啓発することで抑止につなげたい」とする。

HN:
上原健二
性別:
非公開
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